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登山で膝を壊すわけ
スクワットの基本の一つに「曲げた膝が爪先より前に出ない」というのがある。その理由として「膝を前に出すと無理な力がかかって膝をいためる恐れがある」と説明されている。よって多くの人はこれを忠実に守っていることだろう。何を隠そう、かつては筆者も人前でそう話してきた。 しかるに現実には、そのやり方では登山にあまり役立たないと言わざるを得ない。登りにはそれでよいとしても、下りではさほど用をなさないのだ。 それはなぜかを知るために、下におろした足が着地するまでの間に軸足の膝がどう動くかを考えてみよう。実は膝が明らかに爪先よりずっと前に出ている。これが登山における膝の動きの現実なのだ。 蛇足だが、スキーでも「膝をもっと前へ」とよく言われる。スクワットみたく便座腰掛スタイルでは後傾になって滑れない。 |
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図:森光一仙 |
登山はいうなれば、上または下へ一歩踏み出す片足スクワット。そして下りではスクワットでやってはならないとされる動き、しかもそれを片足でやってのける。「正しいスクワット」の何倍の力が膝にかかっていることやら。 もっとすごいのはその回数の多さだ。普通の日帰り登山なら2万歩から3万歩、うち下りはほぼ半分程度だろう。1万回以上のきつい変型スクワット、日に1万回もスクワットをする人なんてどこにいるだろうか。 普通のスクワットでさえ「膝を前に出すと無理な力がかかって膝をいためる恐れがある」のだから、登山では「恐れがある」どころでない。 |
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つまるところ、膝が大きく前に飛び出た片足で全荷重を支えること、その万単位での繰り返しこそが登山で膝を痛める最大の元凶なのである。 こう考えると、登山者は何とも恐ろしいことをやっているものだ。実際、膝が悪い登山者は少なからずいる。だったら対策はそれに耐える膝をつくるしかない。 |
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ではそれならどうしたらよいのだろうか。まずはスクワットの「常識」を見直すことだ。要するに、スクワットでは膝を前に出して構わない。否、積極的に膝を前に出すスクワットこそが登山のトレーニングとして有用なのだと言いたい。 |
参考 | 横向きや後ろ向きで降りると膝が楽なのは、軸足の膝が爪先より前に出ることがないため。 |
2020年9月29日 Mgg記